【コラム13】アートレシピ④私の体は建築物(人体ブリッジ)

ヨコハマSASユニバーサルデザイン研究室
鈴木 佐知子

かつて私が横浜国立大学大学院に籍を置いていたときに作成したジュニア向けの環境デザイン教育の研究誌から、新たにチャイルド向けの学びの内容と方法を考案します。幼・小児の発達段階をふまえた教材を、今後このコラムで紹介します。なお、アートの体験や製作も料理のレシピになぞらえて以後「アートレシピ」と言います。お子様たちが環境や空間にどのように反応するか楽しみです。

 

アートレシピ(環境と空間)編

 

建築物のつくりや仕組みは、人の体と似ているところがあります。体を建築物に見立て、体験的に類似点を、探してみましょう。お子様が環境構造物に興味をいだき、親しみをもって接することが出来るでしょう。数名のお友達と行なうのが理想的な課題です。

No.4 テーマ 私の体は建築物(人体ブリッジ)

Ⅰ 材料や道具・準備

1.準備する物:身近な建物(その他ドームや橋)などの写真を用意します。メモ用紙やサインペンなどの文具を置きます。

2.安全のため活動場所の環境を整えます。

Ⅱ 取り組み方

1.お子様が見やすい所に、文具を置き、資料をはります。準備3分

                 

2.何をするのかを、お話しします。 例のドームやブリッジの図をしめして、お友達とその形を作ってみましょう。
広い場所が必要ならば、家の外でもおこなえます。お子様と相談して、お庭や校庭に一緒に出掛けましょう。(協力的課題)15分

3.例:一人で行なうポーズです。、両腕で重い本などを持ち、立ち上がります。両手を伸ばし頭のうえで、本をささえます。 (体験的課題)5分

4.ドームやブリッジの形を作りましたが、今度は自分たちで体を組み合わせて、新しい形や楽しい建物を作ってみましょう。(発展的課題10分)

5.お子様にたずねましょう。体が痛くなったところがありますか?どこが痛くなったかを、覚えておきましょう。お友達と相談したり、発表してもいいですね。(文字を書けるお子様には、メモを進めます。(構造物の仕組み:考える力と発表力10分)

6.ねぎらいの言葉をかけましょう。「体をそらせたり、重いものをもって少し大変だったですけれど、よくできましたね。」(体験的評価5分)

7.振り返りをしましょう。一人でできる形。みんなでできる形。ほかにお家や学校の形は出来るかな?工夫しお子様から聞き、肯定的な言葉をかけたり、努力を認める言葉を投げかけたりしましょう。(お子様にわかる評価)5分

8.片付けをお子様と共に行いましょう。(片付けと掃除)5分

 

鈴木佐知子
1993年、横浜国立大学大学院教育学部美術教育学科修士課程修了
1999年、東京学芸大学大学院連合学校教育学部芸術学科博士課程修了
神奈川県展協会賞、和歌山洋画100大賞展入賞、アメリカ大賞展(ブロンクス美術館)入賞など
2011年セーラムギャラリー(NY)、2014年ギャラリーサテリット(Paris)作品発表
日本デザイン学会会員、大学美術教育学会会員、日本美術教育連合会員、INSEA(国際美術教育連合)会員、モダンアート協会会員、ヨコハマSASユニバーサル研究室代表

障害について
2005年千葉大学名誉教授を主治医として手術を受ける。網膜の疾患から視力低下後視覚障がいが進み、現在第1種第1級の身体障がい
2006年以降も周囲の人々の協力を得てデザイナー、教育者及び造形作家の活動を継続

連絡先
Email: sachiko@sachiko-museum.jp
HP: http://www.ys-udl.com/

 

【コラム12】アートレシピ③ヒューマンスケール

ヨコハマSASユニバーサルデザイン研究室
鈴木 佐知子

かつて私が横浜国立大学大学院に籍を置いていたときに作成したジュニア向けの環境デザイン教育の研究誌から、新たにチャイルド向けの学びの内容と方法を考案します。幼・小児の発達段階をふまえた教材を、今後このコラムで紹介します。なお、アートの体験や製作も料理のレシピになぞらえて以後「アートレシピ」と言います。お子様たちが環境や空間にどのように反応するか楽しみです。

 

No.3 テーマ ヒューマンスケール (身体尺)

お子様の身近にある色々な物の大きさや長さを、自分の体の一部を使って測ってみましょう。遊びを通して、物の形や大きさに興味を覚え、お子様の空間認知能力を引き出します。

「ヒューマンスケール身体尺」の説明

日本でも古くから伝わる物の測り方のことです。人の体の部分(手や指)や歩幅で、おおよその大きさや長さを測る方法を言います。海外でも同様な方法を使用していたようです。

Ⅰ. 事前準備:材料や道具の用意、安全の確認

対象年齢:5歳~小学校低学年

1.メジャー、定規、ボールペン、ノート記録帳

2.環境作り、環境下見

室内外に計測しやすい物を配置したり、確認したりします。(机やノートなど、また、ドアや窓・植木鉢など)、さらに、危険を防ぎ、素材の安全も確かめます。

 

Ⅱ. 実践:計測

1.はじめに測かるものを用意します。例えば、お子様が普段使っているおもちゃ箱や 絵本お絵描き帳などの、身近な用具がよいでしょう。(環境を整備)5分

2.身体尺で大きさや長さを測ることを説明します。

まず、身体尺で測るときの基本の形をお子様に伝えます。

手でグーチョキパーの形をしめし、お子様にもためしてもらいます。

A.「パー」の形をしめし。「手のひらを、このようにいっぱいに広げてみましょう。親指と小指までの長さを測ってみましょう。○○㎝と記録します。

B.次に「チョキ」「ピース」の形をしめし、「手をチョキの形にして、ひとさし指となか指の間の長さを測ってみましょう。」○○㎝と記録します。

C.、もう一つの「チョキ」「ピストル」の形をしめして、「手をチョキの形にして、親指とひとさし指の間の長さを測ってみましょう。」○○㎝と記録します。

【何を測るのか】机の天板、ノートや本など身近な用具

【どのように測るのか】A~Cの指と指の間の長さを基準にして、身近な物の長さを測ります。

【何のために測るのか】定規がなくても、物の大体の大きさがわかる方法を知り、生活に活かします。(説明)5分

3.まず屋内から始めましょう。、お子様が日常使用している机や本などから計測しましょう。色々な指を使って測ります。どの指を使って測るのか考えましょう。○○㎝と記録します。

 

4.次に、屋外に出ます。お子様が普段から遊んでいる場所で、窓やドアなど測ってみましょう。お庭や校庭へは歩幅をつかい歩数を測りましょう。○○㎝○○mなど、記録します。掛け算の難しい人は、先生やお家の人に手伝ってもらいます。(屋内外事物の計測)20分

5.声かけをしましょう。「色々な物が測れたね。どの指を使って測ったの?。」(楽しい計測)

6.声かけしましょう。「机は、ノートに比べると、とても大きいね。」「でも、窓やドアは、もっと大きいね。」「お庭や校庭は歩幅で測れたね。」「歩幅は、普段歩いているときの一歩ですよ。」(身体尺を使用した計測の学び)

Ⅲ.まとめ:振り返りと評価

振り返りをしましょう。身体尺で測った机やノートの大きさをかいた用紙を見ながら、お子様のとりくみをほめましょう。今日使った身体尺だけでなく、体の一部を使った測る方法は他にないかを考えさせましょう。そのうえで身体尺で測る楽しさや、役立ちで分かったことや感じたことを話し合いましょう。身の回りの事物は、使う人の大きさに合わせて作られていることも学びの一つです。お子様からお話を聞き、肯定的な言葉をかけたり、努力を認める言葉を投げかけたりしましょう。(お子様にわかる評価)5~10分

Ⅳ.片付けと掃除

片付けをお子様と共に行いましょう。

使用した道具や用具を元に戻します。(片付けと掃除)5分

 

鈴木佐知子
1993年、横浜国立大学大学院教育学部美術教育学科修士課程修了
1999年、東京学芸大学大学院連合学校教育学部芸術学科博士課程修了
神奈川県展協会賞、和歌山洋画100大賞展入賞、アメリカ大賞展(ブロンクス美術館)入賞など
2011年セーラムギャラリー(NY)、2014年ギャラリーサテリット(Paris)作品発表
日本デザイン学会会員、大学美術教育学会会員、日本美術教育連合会員、INSEA(国際美術教育連合)会員、モダンアート協会会員、ヨコハマSASユニバーサル研究室代表

障害について
2005年千葉大学名誉教授を主治医として手術を受ける。網膜の疾患から視力低下後視覚障がいが進み、現在第1種第1級の身体障がい
2006年以降も周囲の人々の協力を得てデザイナー、教育者及び造形作家の活動を継続

連絡先
Email: sachiko@sachiko-museum.jp
HP: http://www.ys-udl.com/

 

【コラム10】アートレシピ②街はいろいろ(地図のぬりえ)

アートレシピ(環境と空間)編

白い色の住宅地図に家や道路・樹木などにいろをぬりましょう。
楽しい色塗りだけでなく、お子様の環境への興味を引き出し、街の構成を学習します。

No.2 テーマ街はいろいろ(地図のぬりえ)

Ⅰ. 材料や道具・準備
1.住宅地図(図書館に有)のコピー2~6枚、のり、クレヨンや色鉛筆など12色
また、住宅地図は、インターネットで検索し、必要なページごと有料ですがに取り寄せできます。
2.お教室や自宅のお部屋など住宅地図を広げる環境を整えます。

Ⅱ. ぬり方
1.住宅地図用紙とクレヨンまたは色鉛筆を机上に並べます。(材料や道具を配り、環境を整備)3分
2.住宅地図のぬり絵のルールを説明します。
はじめに、場所やもののイメージで、似た種類の色を決めます。
(例えば―お家やお店は黄色系・公園やお庭は緑色系・川や海は青色系・駐車場は灰色系・道や広場は茶色系など)色をお子様と話し合って決めます。
(どこをぬるのか)、今回はルールで決めた場所をさがしてぬることを伝えます。
(どのようにぬるのか)、今回は場所の種類を区別したいので、はっきりぬることを伝えます。
(何のためにぬるのか)説明5分
3.住宅地図をみんなでぬっている様子があります。お子様と共にお家の方もご一緒にぬってみることをおすすめします。
4.まず、お子様が普段から遊んでいる場所や気に入っているお店などがあれば、そのあたりからぬり始めましょう。何ヶ所かぬっていくうちに、街の様子が思い出されて、どんどんと色がつき、知っている場所があらわれて、作業がはかどります。白い住宅地図が次第にカラフルになってきます。
(地図の色ぬり)20分
5.声かけをしましょう。「いっぱい色が塗れたね。きれいに塗れたね。」(楽しいぬりえ)
6.声かけをしましょう。黄色が多いね。お店がたくさんあるからだね。灰色も多いね、それなのに緑色が本当に少ないねなど、街の特色をお話しましょう。」
「楽しい街だけれど、どのようになったら、もっと楽しい街になるかしら」
(住宅地図のいろぬりの学び)
7.振り返りをしましょう。色ぬりされた住宅地図を見ながら、お子様のとりくみをたたえましょう。そのうえでぬりえで分かったことや感じたことを話し合いましょう。お子様から聞き、肯定的な言葉をかけたり、努力を認める言葉を投げかけたりしましょう。
(お子様にわかる評価)5分
8.片付けをお子様と共に行いましょう。(片付けと掃除)5分


鈴木佐知子
1993年、横浜国立大学大学院教育学部美術教育学科修士課程修了
1999年、東京学芸大学大学院連合学校教育学部芸術学科博士課程修了
神奈川県展協会賞、和歌山洋画100大賞展入賞、アメリカ大賞展(ブロンクス美術館)入賞など
2011年セーラムギャラリー(NY)、2014年ギャラリーサテリット(Paris)作品発表
日本デザイン学会会員、大学美術教育学会会員、日本美術教育連合会員、INSEA(国際美術教育連合)会員、モダンアート協会会員、ヨコハマSASユニバーサル研究室代表

障害について
2005年千葉大学名誉教授を主治医として手術を受ける。網膜の疾患から視力低下後視覚障がいが進み、現在第1種第1級の身体障がい
2006年以降も周囲の人々の協力を得てデザイナー、教育者及び造形作家の活動を継続

連絡先
Email: sachiko@sachiko-museum.jp
HP: http://www.ys-udl.com/

【コラム5】―アートレシピ①頭の中の絵地図(メンタルマップ)―

ヨコハマSASユニバーサルデザイン研究室
鈴木 佐知子

かつて私が横浜国立大学大学院に籍を置いていたときに作成したジュニア向けの環境デザイン教育の研究誌から、新たにチャイルド向けの学びの内容と方法を考案します。幼・小児の発達段階をふまえた教材を、今後このコラムで紹介します。なお、アートの体験や製作も料理のレシピになぞらえて以後「アートレシピ」と言います。お子様たちが環境や空間にどのように反応するか楽しみです。

 

アートレシピ(環境と空間)編

記憶を頼りに絵地図を描いてみましょう。お子様の空間認知能力を育て、環境を大切にする心を養いましょう。

No.1 テーマ 頭の中の絵地図(メンタルマップ)

Ⅰ 材料や道具・準備
1.A4位の用紙、黒色のサインペン
2.お教室や自宅のお部屋などでメンタルマップを描ける環境を整えます。

Ⅱ 描き方
1.用紙とペンを机上に並べます。(材料や道具を配り、環境を整備)3分
2.絵地図の描き方を説明します。お家から(例―幼稚園・保育園・学校などまたバス停・お店など)への行き方を描くことを伝えます。
(何を描くのか)短い時間で描くので今回は色を付けず、黒色だけで描くことを伝えます。
(どのように描くのか)遠くのお友達や親戚の人に教えるために描くことを伝えます。
(誰のために描くのか)説明5分
3.絵地図の見本がありますので、参考にしましょう。(参考作品の鑑賞)2分
4.まず、お教室やお家から出かける行先をお子様と相談して決めます。目的地までの道のりを思い出しながら描き、絵地図を作成します。(絵地図の描写)20分
5.声かけをしましょう。「自分だけが知っていることを絵に描いて教えてあげましょう。」(楽しい絵地図)
6.声かけしましょう。「描けないところがあってもよいのですよ。心に残るものや場所を描きましょうね。」(頭の中の絵地図の特徴)
7.振り返りをしましょう。描かれたものの説明をお子様から聞き、肯定的な言葉をかけたり、努力を認める言葉を投げかけたりしましょう。(お子様にわかる評価)5分
8.片付けをお子様と共に行いましょう。(片付けと掃除)5分

 

 

鈴木佐知子
1993年、横浜国立大学大学院教育学部美術教育学科修士課程修了
1999年、東京学芸大学大学院連合学校教育学部芸術学科博士課程修了
神奈川県展協会賞、和歌山洋画100大賞展入賞、アメリカ大賞展(ブロンクス美術館)入賞など
2011年セーラムギャラリー(NY)、2014年ギャラリーサテリット(Paris)作品発表
日本デザイン学会会員、大学美術教育学会会員、日本美術教育連合会員、INSEA(国際美術教育連合)会員、モダンアート協会会員、ヨコハマSASユニバーサル研究室代表

障害について
2005年千葉大学名誉教授を主治医として手術を受ける。網膜の疾患から視力低下後視覚障がいが進み、現在第1種第1級の身体障がい
2006年以降も周囲の人々の協力を得てデザイナー、教育者及び造形作家の活動を継続

連絡先
Email: sachiko@sachiko-museum.jp
HP: http://www.ys-udl.com/